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平木啓子の奮戦記

大会の様子やイベント事など、平木啓子とパラグライダーにまつわるお話を更新予定!

第18回世界選手権 in FRANCE 12日目

いよいよ最終日。初日に使ったイカロスカップが開催されるサンチレールからです。お天気は微妙だそうで、午後に雷雨の可能性がすごく高いので、サンチレールの岩盤を往復して本部にゴールの短め54キロタスクとなりました。
成績は女子5位にアップしてましたが、3位以内には1000点とっても入れないので4位目指して飛びました。怖い怖い岩盤はアクセル2/3位、他のグライダーがめちゃ近いので、ドヒャーって持ち上がっても歯を食いしばってアクセル離さないよう頑張っていたんですが、グォーって持ち上がった時にサカサと言うので何かと思ったら青白のエンツォー3のインテークが後頭部に当たっていました。「うわー!!」心の底から叫んだら、すぐ隣を飛んでいたH川さんがこちら見て「うわー!!!」大きな声で接触したことに気づいたのか、奴は離れていきました。危うくグライダーに飲み込まれるところでした。。。危なかったぁ。その後、なんとなく混んでいないコース取りになっちゃいましたが、要所要所でいい上昇があり、最後15キロくらいから完全ガン踏みでファイナルグライド、ちょっと遅れちゃったけど最終日無事ゴールして終われました。ふうう、良かった。

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日本人全員ゴール!応援に来てくれたハングのN草さんと、気苦労の多かったチーム監督のN島さんと記念撮影パシャリ!

女子5位でフィニッシュ!

色々あった世界選手権、全員で一緒には帰れませんが終わりました。
この大会で引退する選手がいます。寂しいけどいい終わり方かも。自分の引き際もそろそろ考えなくちゃ。。。
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第18回世界選手権 in FRANCE 11日目

11日目も快晴!12日間中3日くらいしか飛べないんじゃないか、って当初の予報を覆し、なんだかんだ飛べています。ただ夕方には雷雨の場所があるので60キロ〜80キロのタスクとなっています。

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11日目は82キロタスク。いつものモーランベールのテイクオフです。アネシー方面は風が強目とのことでそちらで1ポイント取ったらすぐにモランベール方面に折り返してきて、本部のある谷をアルベール方面に進み、折り返してきてゴールです。本部のある谷の風は上空はそう強くはないものの、下層は強いので、しっかり上げながら進んだ方がいい、とアドバイスがありました。それよりも何よりもスタート前です。前山をうまく抜けられてスタートに間に合ったのは1回だけ。現在1位のピノ様やオーガナイザーのジャックから抜け方のご指導があり、忠実に守ることにしました。まずダミーが上がり出したタイミング、ゲートオープン直後が一番抜けやすいので早く出た方がいいとのご指導を守ろうと、いつにない早めに準備していたら、まだダミーがしっかり上がり切っていないいつゲートが開くかも決まっていないうちから、ozoneのラッセルオグデンさんや、アクロのフェリックスロドリゲスさんがハーネス着けてヘルメット被って待ってるじゃぁありませんか!こんな大御所たちも抜けられなくて苦労してたのかなーと思うと、少し安心しました。
この日は抜けやすいコンディションだったようで、ほとんどのパイロットが雲底2200mくらいから一斉スタートとなりました。長蛇の列で一斉にアネシー方面に向かいます。アネシー方面のポイントはまーったく上がらず、高いトップグループは回さず折り返してドッグレグのある岩盤に付けて上げていきますが、私たちは100mくらい低く、弱ーいリフトでネチネチ。と、雨が降ってきたので、エーイって感じで移動を開始し、ドッグレグのある岩盤になんとか付けて遅れながらも前を追いかけました。振り向いたら元いたところは結構な雨。10人くらい降りていたのでかなり濡れていそうです。。。
その後は、そうスタックもなく地味に上げを拾いながらアルベールビル方面へ。そこのターンポイントでガッツリ上げて雪山をトップアウト、もうゴールまでは400m以上余ると出ていますので、アクセルガン踏みで進みました。N島監督から無線で下層は風が強くて降りてしまってる人がいるからなるべく高く上げてからきた方がいいよ、とのアドバイス。私はバッチリ高いから大丈夫です!と自信満々に一直線にパイロンに向かいました。と・・・途中までは絶好調かに見えたのですが、最後のESに向かう時はジリ貧、強い向かい風の中なんとかESをクリアしてゴールに向かいますが・・・ひくい。ゴールラインが目線より上かも。。。とりあえず進んでみるけどどこに降りようか。。。フランスの神様にどうかリフトを下さい、とお願いしまくりながら進んでいましたら、なんとふんわりお助けリフトを3回も頂けて、無事ゴールにたどり着けたのでしたぁ。神様ありがとうございました!ゴールできたとしてもフォローけつらんになってマリンちゃん破いちゃうかも、と思ってましたが、最後チャックを開けて、ワンたーんして、足で立つことまで出来ました!完璧ゴールでした!!

ラッキーゴールで少しだけ順位上がりました!

残り1日、最後まで安全第一でがんばりたいと思います!

第18回世界選手権 in FRANCE 10日目

10日目はレストディ。お天気が良くても悪くても、あまりの事故の多さに一旦冷静になろうみたいな感じでお休みすることが決まっていました。お空も合わせてくれたように曇り雨でゆっくり休むことができました。
午前はブリーフィング。6タスクで18件の事故、ツリーした人は21人(空中接触が3件)、異常な多さです。その原因について意見を出し合ったようですが、マリンちゃんによるところが大きいとの意見が多かったそうです。真下のグライダーが見えない、真下を見ようとあれこれする間前方の注意が疎かになる、計器が見づらいので見るために前方の注意が疎かになる時間が長い、など。それから乗り慣れていないマリンちゃんで初めてアルプスを飛ぶ選手が多くそこも問題との意見もあったそう。今後CIVLに議題としてハーネス問題を提出することになるだろう、とのことでした。

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午後はN山さんのお見舞いに行って、スーパーでお土産の買い出ししました。N山さんはまだ完全に安心できる状態ではありませんが、大きないい病院で治療を受けていて、顔色はまずまずでした。J子ちゃんも気丈に頑張ってました。お互いがんばろー。
その後、大会オーガナイザーに色々コンプレインが。まずアイルランドチームからは、9日目は競技をしないと深夜に連絡してきたのに早朝にミーティングを開き、全会一致で決めると言ったのに多数決で決定を覆し、競技をするに至った。我々は二転三転する決定に翻弄され、準備を完全にすることができなかった、依って9日目の結果は無効にするべきだ、無効とならなければ我々は試合を放棄し帰国する、だそうです。私の9日目は散々な結果だったので、認められたら嬉しいけど認められないでしょうね。
それから、フランスチームの戦略についての抗議。フランス人のランバートという選手はものすごく上手で天才的な飛びをするのですが、今回はチーム選手ではなく個人の成績も振るいません。なので捨て駒というか偵察隊というかそういう風に使ったらしく、パイロンを取らずにルート上の先を飛ばさせ、先々の情報を報告させていたというのです。すごいこと考え付きますよねー。選手じゃないフライヤーがルート上を飛んで情報を出すのは違反なのですが、選手が飛ぶのは違反じゃありません。でも今後は、パイロンを取らずにルート上を飛ぶのは禁止にする方向だ、とのことでした。
いやいや色々起きますね。残り2日、飛べそうな予報です。無理せず安全に、でも少しでも上を目指してがんばります!

第18回世界選手権 in FRANCE 9日目

9日目。あまりの事故の多さに大会の審査員が競技を中止し、選手全体でミーティングを行おう、みたいなことがSNSで発信されると、それに対して非難ごうごう。世界チャンピオンになったことのあるパラグライダー界の大御所なんかも、じゃあ彼ら抜きで自分たちだけで競技を続けよう、みたいな書き込みをしてヒッチャカメッチャカでしたが、なんとかチームリーダーだけのミーティングで収まり、競技が続行できることになりました。
この日も重いザックを担いで歩かなくちゃいけないモーランベール。チームリーダーのN島さんが3人分のバラスト40kgを運んでくれてます、のはずだったんですが、車を駐車場に置きに行って戻ってきたら、置いたはずのバラストが無くなっていたそうです。なんでー?オーガナイザーに頼んであちこち探しても見つかりません。バラストがなかったら私・Kパさま・Hろピーは飛べません。あんな重い水と鉛を一体誰がどこに???タスクが発表され、ダミーが上がり出し、もうすぐウインドオープンかなー、でも準備してもなー、なんてブラブラしていたら、テイクオフで見つかりました!フランスチームの監督が、道の脇にポツンとリュックサックが置き去りにされていたので心配になり持ってきて、そうしたことを忘れていたそうです。はぁ。

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この日のタスクは60キロ。アネシー方向の岩山乱立地帯で3個ほどターンポイントを取って大会本部に戻ってゴールです。中々上げられないモーランベール、早めに出て雲上人になるため抜け出そうとしましたが・・・全然上がれません。右にいったり左に行ったり右往左往。1時間以上がんばりましたが、他の100機より500m以上低い状態でスタート時間となってしまいました。がっくりです。もう安全にゴール目指すしかないです。怖い怖い岩盤地帯を少人数グループでなんとかこなし、トップより1時間遅れてゴールにたどり着きました。疲れたー。

ダメダメ成績はこちらから・・・

レースの速さの前に、前山抜けを練習しなくちゃダメな状態です。なんだかうまく行きません。しょんぼり。

第18回世界選手権 in FRANCE 8日目

この日も大会のメインテイクオフ、モーランベール。またグライダー担いで歩かなくてはいけません。チームリーダーのN島さんが私とKパさまとH川さんの重り合計40kgほどを運んでくれました。グライダーは担ぐというよりは腰を折り曲げて背中に乗せて運ぶ、みたいな折れ曲がりスタイルで、山道をエッチらおっちら進んでいたら、今日はブラジルのラファエロさんが8kgほどある赤いバッグを持ってくれました。ありがたや〜。

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コンディションは前日とほぼ同じ、雲底2000mほど、午後には山の方で雨、とのことで山超えのアネシー方向へは前日より手前で折り返し、本部のある谷を行ったり来たりする少し長めの78キロタスクとなりました。
このテイクオフ、リッジ面が風を正面から受けていないのでスカーっと上がらず大混雑することで有名ですが今日もまた大渋滞。みんなで邪魔し合ってるような感じでスタートギリギリまで上がれませんでしたが、15分前にようやく雲底へ続くエスカレータに乗れました。雲上人たちは雲にまみれて飛んでいます、と無線が騒がしくなり、横を見ると2機が絡んだ状態で落ちていきます。またー?!雲に入って空中接触してしまったようです。でもレスキュー3個開いてふんわりランディングしたそうで、二人とも怪我はなかったそうです。よかったですね。
さてレース。バッチリな高さでスタート。空域も荒れていないので今日はアクセル全開で集団について行けました。見切り良く、コースどりも良くて、アネシー方向の岩盤地帯を先頭集団30人くらいの最後尾を追走します。めちゃ調子いい!折り返して本部のある谷へリターン、次のターンポイントのあたりの上がりは今一つのようです、なので少しアクセルを緩めて高度を維持しながら突入、上がりは弱く集団はバラけました。左の風を受けているリッジ面か、右のリーサイドサーマルか・・・リーサイドサーマルで上げてるグループの方がいい上がりに見えたのでそこに突っ込むことにしました。

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が・・・やってしまいました。3人ほどで突っ込んでいったのですが、私だけあれよあれよと下がり、そのサーマルに乗れず谷の中に。なまじ調子が良かったので過信してしまったというか魔が刺したというか、普通だったら安全策で行くはずなのに賭けに近いリーサイドサーマルを選択してしまい、失敗したのでした。アーレーってな感じで谷底に吸い込まれていったのですが、最後に変なぐちゃぐちゃサーマルヒット!よーしっ頑張るか!っと半周回して超えてきた山に向き直ったところ、青いBーメランがリーサイドの風にやられて山に吸い込まれるところ見てしまい戦意喪失、安全にランディングすることにしました。奥に見える、三角の山に青い花が咲いています。
その後、次のターンポイントに付近が大雨だったようでタスクはストップとなりました。日本人チームは私以外にも2人途中降機。最後まで生き残っていたKパさまは大雨にあたりずぶ濡れになったそうです。そして雨のせいで1機落ちてしまったそうです。安全に濡れずに降りれたのでよしとします。。。

女子4位も危うい成績はこちら。。。

毎日事件が起きすぎです。山に落ちた人は15人、150人参加しているので10%です。コンディションは普通のフランスでそんなに激しいわけではありません。雲中飛行して接触して落ちたり、大雨の中飛んで落ちたりって、世界選手権に参加する選手がすることじゃないですよね・・・何やら色々大紛糾してるみたい。我々は、とにかく安全大優先で頑張りたいと思います。。。
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プロフィール

平木啓子

Author:平木啓子
☆スカイ朝霧パラグライダー
 スクールインストラクター
☆パラグライダー選手として
 世界各地の大会で奮戦中
☆2009年、2013年 
 ワールドカップ
 女子世界チャンピオン
☆北海道出身
☆静岡県在住

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